ブレインスポッティングの特徴
BSPの特徴はその速さ・効果の大きさです。それは1)癒しの処理が起こる枠組みを作り出すための関係性の重視、2)視野の中にトラウマと関連のある目の位置を特定しフォーカスして処理を起こす神経生物学の活用、そして3)これらが全て自然に起こるための不確定性原理の実践から生まれます。
「何も推測しない」態度から、相談者との関係性の同調を経て「安心・安全」の空間を作り出し、そこにブレインスポットを特定することを含め、神経生物学的な同調をすることで、相談者の脳が集中的なトラウマ処理を起こす枠組み(フレーム)が生まれます。これは、プロトコルに沿うのではなく「全ては不確定である」という態度を受け入れ「今この瞬間」に沿っていくことで実現します。
ブレインスポッティングの理論
BSPは神経生物学的な仮説に基づいています。ブレインスポットにアクセスすることで皮質下の活性化、また同時に身体と感情体験を抑制する無顆粒層を含む新皮質の活性化が起こることで、問題にフォーカスした高い活性化状態において身体の抑制機能を働かせ「終わっていなかったトラウマ反応を完了」させ、トラウマの影響を取り除きます。
無限大にある神経の結合が人間には存在するという事実から「癒しの本質は来談者の脳にある」と仮定し、それを唯一の癒しの拠り所として信頼します。セラピストが先に立って導くのではなく、むしろ、尾が頭に必ずついていく「彗星の尾」のようになって、徹底的に来談者の処理に寄り添っていきます。それにより、来談者が生存するための本来の力を引き出し、問題の解決へと誘います。
ブレインスポッティングのエビデンス
BSPの臨床試験は3つ発表されています。ドイツでBSPの予備調査が行われ、それに基づいてEMDRとの比較臨床試験が行われました。結果、BSPはEMDRと同程度に効果があると結論づけられました。またスペインでもBSPの治療効果に関する比較検討が行われており、近年中に出版が決まっています。これらの調査はBSPが高く効果のある方法であることを示しています。
また一般にすでに公開されている根拠として、2012年に起きたアメリカ銃乱射事件の被害者ケアに関する調査結果が公開されています。乱射事件が起きたサンディ・フックのコミュニティーを対象に調査が行われた結果、BSPはソマティックエクスペリエンシング(SE)やEMDRと同様かそれ以上に効果があると感じられたということが分かりました。
始まったばかりのこれらの研究や調査から、BSPは今後十分なエビデンスを積み重ねていく潜在的可能性があると言えるでしょう。